久々のDTV関連です。
私事ですが、とある事情で、引っ越しをしました。
引越し先のマンションがJ:COMを共同受信してたのですが、BS領域がパススルー方式ではなく、BSを見るにはパラボラ・アンテナを設置するしかないかなーと思ってました。
ただ、ひょんなことから、トラモジ領域を見れるお手軽なチューナーがAliexpressで売っているという情報を得ていたので、ダメ元で買ってみました。
MyGica T230Cって言うやつです。
これ、兄弟機種にMyGica T230という、最後に「C」が付かないやつもあるのですが、違いはよく分かりません。
ネットで調べてると後者でも見れたとか、一部チャンネルが見れないとか色々あります。手元環境ではBS11とWOWOWのプライム以外の2チャンネルを除けば、BSと地上波を、このチューナーで見ることが出来ました。
BSと地上波はB-CASカードで暗号化を解除できるので、簡単に見ることが出来ますが、CATVのチャンネルはCATV契約者でも暗号化解除に必要な工程複雑で情報が少ないので、基本見れないと思っていたほうが良さそうです。
ちなみに今回紹介するUSBスティック型は、急に認識しなくなったり、チャンネルロックに失敗したりすることがあるので、価格は上がりますがPCI-e形式のチューナーのほうが安定します。
最近ではドイツのDigital Devicesという会社のMax M4が人気らしいです。
トラモジ方式ではない地上波やBS/CSにも対応していて4chチューナーと超高スペックで、しかもドロップも少ないんだとか。持っていないので実際はどうなのか知りません。
あと値段は3万円程度します。
MyGica T230CでJ:COMトラモジ領域のチャンネルを見る
こんな変な環境の人が少なくて、情報がめちゃくちゃ少ないですが、とりあえず手持ちの環境で試行錯誤した結果見れたので、レポートします。
注文
日本では売ってるTBSのチューナーを買えば、国内倉庫からの発送なので、すぐ手に入りますが、中国製のチューナーを個人輸入すれば2,3千円と激安で手に入るので輸入しました。
MyGicaという中国メーカーは、日本で売ってるTS抜きチューナーを販売してるPlexの商品のOEMもやってるらしいです。
使えない変なものを作るメーカーではないのは確かです。
品質は知りませんが^^;
チューナー本体
Aliexpressは楽天と同じように色んなお店(個人から企業まで)が出店して成り立っています。
今回はMYGICA Official Storeというショップから購入しました。↓これです。
他には、「vastTV Technology Co., Ltd.」というショップでも買えるみたいです。こっちは安いのですが、商品名は「C」ついてないのに、説明文は「C」が付いてるので、どっちが来るか分かりません。
最初に注文したのが、MyGica T230の語尾に「C」がつかない方を注文してしまい、キャンセルして買い直したのは、秘密です。
「C」が付くかつかないかで、どんな違いがあるのかよく分かりません。詳しい方、もしくはどっちも持ってる方、教えて下さい。
届いたものは箱がボッコボコでした。
付属品は室内用アンテナとUSB延長ケーブルと謎のリモコン(付属ソフト専用)という感じです。
F型がオスでPal型がメスの変換アダプタ
MyGica T230のアンテナ端子がPal規格なので、日本のF型コネクタへの変換が必要です。
これはAliexpressでも売ってますが、すぐ届くアマゾンで買ってもいいんじゃないでしょうか。(プライムマークのないのを買うと届くまで異常に時間がかかりますので、注意)
また、オスとメスを間違えると使えません。
結構大事です。このチューナーで利用するのは、F型がメスで、Pal型がオスになってるやつです。
参考例としてはこれです。
※アマゾンで購入する際は、プライム対応商品でないと中国からやってくることになるので気をつけてください。
秋葉原とかラジオ関係のパーツを扱う店が近くにあれば、そこから買うのも一つだと思います。
海外のFMラジオを使う際にも利用するらしいです。
ドライバーや関連ソフト探し
情報が少ないので、チャンネル設定やソフトも手探り状態です。
自分が使ったものをメモとして書いておきます。
ドライバー
付属のCDを使えば一発なのですが、外付けドライブを新居に持ってきていなかったのでネットでググって見つけました。
T230C-DEというドイツ向けのもありますが、よく知りません。DEのついていない普通のでいいと思います。
CrazyScan2
電波状態を可視化して、実チャンネルの入っているトランスポーターを見つけてくれるソフトです。
CrazyScan2.rarを展開しただけではエラーが出ます。ライブラリが足りてないからです。
展開したフォルダーに「StreamReaderExEx-BDA.rar」と「ReqLibs.rar」の中身を入れると動きます。
最初は使用用途すら分からないソフトでしたが、使い方が分かっていくと便利なソフトでした。
使い方は、「Style」でDVB-Cを選んで、「Interval」で知りたい周波数を入力、日本の放送の周波数の幅が6MHzなので「Step」は6Mhzでいいんじゃないでしょうか。
一度Scanをクリックすると電波状態がグラフ化されます。
AirScanをクリックすると指定した周波数の間で実チャンネルの含まれるトランスポーターを見つけてくれます。
周波数は
地上デジタルは、 UHFローバンド(470Mhz〜602Mhz)
ケーブルテレビは、 (BS/CSトラモジ放送含む)は、 UHFローバンドの一部(470Mhz〜602Mhz)、ミッドバンド(108Mhz〜164Mhz)、スーパーハイバンド(222Mhz〜468Mhz)、 UHFハイバンド(602Mhz〜770Mhz)
引用元: 日本国内におけるテレビ放送のチャンネル周波数/放送方式一覧 (地デジ/CATV/BS/CS/スカパー) – なしっぺのITブログ
となってます。
うちの地域では、地上デジタル放送のところに、ケーブルテレビのチャンネルも、ねじ込まれてました。
後述しますが、自分の環境では、CATV対応ブースターを買ってみたりしましたが、結局ミッドバンド領域が見れなかったです。BS11と、WOWOWのプライム以外のチャネルが受信出来ませんでした。(個人的にはBS11が一番大事だったので、結構残念)
TransEdit
DVBViewerという海外版TVtestみたいな有料ソフトを買うと、おまけでついてくるソフトです。20ユーロで買えます。
PIDの中身を見ることができるので、どのチャンネルが、どこの周波数にあるのかが把握できます。
あとから分かったのですが、このソフトを使わなくても、TSReader Liteで見れるチャンネル1チャンネル見つけて録画すれば、同じように調べることができました。
TSReader Lite
※赤枠部分がBS局の周波数を表している部分です。
録画したTSファイルの分析ができるソフト。
※チューナーメーカーのTBSという会社のものであれば、チューナーから直繋で調べられるようです。MyGicaは対応していないので、数分程度録画したTSファイルを用意する必要があります。
トランスモジュレーション形式でのBS放送は、どのチャンネルを、どの周波数で放送するのかは、各ケーブルテレビ局が決めることができるので、全国均一の設定がありません。
そこで、全チャンネルスキャンするしかないと思っていたのですが、ケーブルテレビから出てるBSの放送のPIDの中に、チャンネルと周波数情報を放出しているようです。
この情報に従えば、全周波数をスキャンせずともチャンネルの周波数が分かります。
TransEditではチャンネル名が表示できるのですが、こちらでは無理なようです。
地上波局(UHFローバンド領域)はPIDの中に他局の周波数情報が無いので、一旦全チャンネルスキャンする必要があります。
TVtest
もはや日本のテレビ放送を見るなら、外すことは出来ない存在ですね。
自ビルドでTVtest 0.10.0を準備して使ってます。
ちょっと前までは、トラモジ放送を見るにはパッチを当てる必要があったようですが、Bondriver側で対応出来るようになったので、パッチを当てる必要はなくなりました。
しかし、TSMF用に設定が必要です。
パッチは「TVtest 0.10.0 TSMFパッチ」で検索すれば出てくるので、それを使うと面倒なTSMF用の記述が要らなくなります。
TSMFなチャンネルは、チャンネルスキャンで引っかかるのに見れないチャンネルです。
そういうチャンネルは、下記サイトを参考にBondriverのiniを設定をする必要があります。
見たいチャンネルの周波数と実チャンネル番号を設定するという感じです。
Linux環境ならMirakurunのSERVICE_SPLITオプションをオンにすれば対応できるらしいです。(Linuxの録画環境を手元に持ってきていないので確認出来ていません)
Bondriver
基本はBonDriver_BDAで動きます。
MyGica T230Cのドライバーにバグがあるらしく、このBonDriver単体ではチューナーの初期化が出来ないらしいです。
そこで、BonDriver_BDAの作者のradi-shさんが、MyGica T230C向けのパッチを用意してくれました。
これをビルドして使えば、不自由なく使えてます。(圧倒的感謝)
ビルド方法は、radi-shさんのBonDriver_BDAの最新ソースコード一式をダウンロードして、BdaSpecialsに先程紹介したLWireのソースコードを配置すればビルド出来ます。
下記サイトで詳細に解説されているので、特に引っかかることなく、ビルド出来ると思います。
自分は、VS2017でやろうとして失敗しました。VS2019を入れる必要があります。
容量(10GB程度)と時間が結構かかります。
使い方
とりあえず、CrazyScan2でドライバーが電波を掴むことを確認して下さい。
その時点でエラーが出たりすれば、不良品だったり、そもそもトランスモジュレーション方式の放送がされていない可能性があります。
TVtest
最低限のBondriverのiniを設定していれば、とりあえずチャンネルスキャンは出来ます。
; MyGica T230C用のトランスモジュレーション方式のケーブルテレビ用サンプルiniファイル
[LWire]
DebugLog=NO
; T230CのDriverでISDB-CのSymbolRateがSetされないBUG対策を行う
BugT230C_ISDBC=YES[Tuner]
FriendlyName0=”Digital TV”
CaptureFriendlyName0=”AVStream TS Capture”
Name=”T230C”
UseSpecial=”LWire”
DVBSystemType0=”DVB-T”
NetworkProvider=”Microsoft Network Provider”[BonDriver]
DebugLog=NO
BuffSize=1024
MaxBuffCount=512
WaitTsCount=1
WaitTsSleep=100[Modulation]
ModulationType0SettingsAuto=”J.83C-64QAM”
ModulationType0Modulation=3
ModulationType0SymbolRate=5274[Channel]
:ReserveUnusedCh=1[TuningSpace00]
DD_SelectStandard=”ISDB-C”
TuningSpaceName=”TransModulation”
TSMFMode=”Relative”
ChannelSettingsAuto=”TransModulation”
上記設定をBondriverと同じファイル名で拡張子だけiniに変更すれば動くと思います。
UHF領域を全て巡回するので、結構時間かかります。
Crazyscan2でヒットしたチャンネルをiniで指定しておくというやり方もあるので、そこは、サンプルを見ながら設定してみてください。
格安mini PCと組み合わせて録画サーバーとして使う
たまにチャンネルロックに失敗するので、Devcon.exeとバッチをタスクスケジューラで一日一回実行させるようにしています。
スリープ運用であれば、スリープ解除時とかにバッチを実行させたほうが良いかもしれないです。
Devcon.exeは本来Windows Driver Kitをインストールしないといけないのですが、下記やり方でexeファイルだけ抜き出しました。
バッチファイルはこんな感じ
C:\TV\devcon restart "USB\VID_0572&PID_C68A"
これを管理者権限で動かすことで、T230Cの再起動ができます。
総括的な何か
2千円ちょっとでBSと地上波が見れるので、お得感はあります。
しかし、トランスモジュレーションのチャンネル割当や、信号強度などの環境要因が確認出来ないので、出たとこ勝負感があります。
手元環境で見れなかったのは、マンションの分配前に入っているブースターがCATV用ではない、もしくは旧式のブースターを使っているのではないかと思います。
もちろんCATVの領域はB-CASカードで暗号化を解除出来ないため見ることが出来ません。
CATV領域を見るには面倒なソースコード改変とかが必要らしいので、CATVを契約していて、且つ忍耐力に余裕があればやってみるのも有りかもしれないです。
手法としては、スカパー!プレミアムの手法で出来るらしいです。
ちなみに、個人的にはトラモジ方式ではなく、「パススルー方式だったら、さんぱくん外出などが使えて楽だったのにな」と思っています。
そもそも、地上波部分はトラモジとパススルーで同じものを流していて、これにBSも加えるわけで、帯域の無駄とも言えるんですよね。
STBでトラモジと普通の方式に対応できれば、帯域の無駄が削減出来ると思うのですが、中々難しいのでしょうか….
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