Nothing ear (1)はNothing Techから2021年の8月に発売され、2021年の12月に新色としてブラックが追加されました。今回はNothing ear (1)をご提供頂いたのでレビューします。
デザイン的にはかなり尖っていますが、実用性が十分に確保されていて、音質や機能を考えると、バランスがよく取れているコスパの良いイヤホンに仕上がっています。
Nothing ear (1)
提供: Nothing Tech
Nothing Techとは
Nothing Techとは、ハイエンドキラーのスマホとしてお馴染みのOnePlusの共同創業者、Carl Pei(カール・ペイ)氏がロンドンを本拠地として創設したブランドです。
Nothing ear (1)は、Nothing Techから発売された商品としては第一弾となります。
もともと、OnePlusに携わっていたこともあり、どこを削って、どこにコストをかけるべきなのかという、コスパのノウハウが継承されているように感じます。
スペック
Bluetooth: 5.2
コーデック: SBC、AAC
防水: IPX4
バッテリー: イヤホン単体で5時間、ケースに入れてANCオンで24時間、ANCオフで34時間
充電: Type-CまたはQiワイヤレス充電
重さ: イヤホンが4.7g、ケースが56.8g
大きさ: イヤホン28.9 x 21.5 x 23.5mm、ケース58.6 x 58.6 x 23.7mm
機能:耳元での検知、iOS / Android 向け専用アプリ、Google Fast pairing、HYBRIDアクティブノイズキャンセリング機能、マイク用のAIによる環境ノイズキャンセリング機能
aptXへの対応はありませんが、1万円ちょっとという価格で、最近のTWSイヤホンのトレンドを余すこと無く詰まっています。
個人的にはGoogle Fast pairingへの対応が結構嬉しいです。
この機能は、Androidのデバイスだけの機能ですが、デバイスへのペアリングを簡単にするだけでなく、ケースの電池とイヤホン側の電池残量の表示が接続時にシステムから表示することが出来ます。
ケースのバッテリー残量が確認出来るTWSがそもそも少ないですが、確認出来るTWSでも専用アプリといったものが多いので、この仕様は非常に助かります。
この価格帯では省かれることの多い、ワイヤレス充電にも対応しているのも凄いところです。
外観
スケルトンデザインが特徴的で、デザインにこだわって作られています。
パッケージ
中抜きして空箱販売をされることを避けるためなのか、パッケージは一度開封するともとに戻らないようになっています。
裏側はこんな感じです。
本体
ブラックモデルということで、メイン部分が黒になっています。
TWSイヤホンとしては珍しく中身の基盤が透けて見える仕様になっています。
過つてのiMacのように素材全部を半透明にするのではなく、基盤をあえて見せない部分を作ることで、安っぽくならないようになっています。
形状的には、AirPods Proに近いかなと思います。
イヤーピースを他社製のものと交換する場合は、標準的なTWSよりも、高さの低いTWS用(AirPods Pro用など)のものを選ぶ必要があります。
充電ケース
このケースの写真をプレスリリースで見たときは、梱包用のパッケージの一部なのかと思っていました。
閉じてしまうとイヤホンが入っているのかどうか分からないTWSが多い中、このケースはケースに閉まっても、イヤホン本体がしっかりと見えるケースになっています。
ただ、デザイン性を重視しているので、ケースサイズが結構大きいです。
大きいとはいえ、SonyのWF-1000XM3のケースに比べると、それよりは小さいので、このサイズ感が大丈夫な人は問題ないと思います。
ケースはツヤツヤの透明なアクリル製の素材なので、カバンなどに収納したときに、一緒に収納しているものと擦れて傷が付くかもしれないのが心配です。
接続
AndroidデバイスならGoogle Fast pairing機能のおかげで、ケースを開くだけでペアリングのポップアップが出てくるので簡単に出来ます。
装着してみた
一度装着してみると、Nothing ear (1)がデザインだけじゃないことが良く伝わってきます。
装着感
これまで、色々とTWSを触ってきましたが、TWSはどれも本体が大きく長時間使うと違和感を感じ得ないものが多く、イヤーピースで工夫して誤魔化していました。
Nothing ear (1)は、これまで触れてきたTWSに打って変わって、付属のイヤーピースのままでも装着時に「ピタッ」と安定して耳に収まるので、「これだ」と感じました。
後述しますが、手持ちのイヤピのどれでも問題なく使えたので、標準のままでも十分な装着感が得られますが、その一歩上を自分の好みに調整することも出来ます。
音質など
音質に関しても、1万円のイヤホンとしては十分過ぎる音質になっています。
ドンシャリサウンドと呼ばれる高音と低音の高低差を味わう音というより、中音域重視しつつ、低音と高音が自然な聞こえるようなバランス感のある音になっています。
これまでWF-1000XM3を使っていて、ドンシャリ目の音に慣れていたので、個人的には少し物足りなさを感じました。
長時間音楽を聞くのであれば、このような音のほうが疲れにくいので、これはこれで良いです。
機能
価格設定間違えたのではと感じるくらい高機能です。
ステムをスライドすると音量を調整出来てめちゃくちゃ便利
あまりこのことが書かれているレビューを見かけなかったのですが、ステム部分を下から上に指でなぞると、音量が一段回上がり、逆に上から下に指でなぞると、音量が一段階下がるという機能がついています。
曲の一時停止、曲送りや曲戻し機能は最近のTWSイヤホンならついていることが多いですが、音量調節が出来るものは殆どなく、あってもコマンド操作のような複雑なものが多いです。
ここまで直感的に音量調節が出来るTWSイヤホンは珍しいのではないでしょうか。
曲送りや曲戻しは可能。割当のカスタマイズ性は微妙
ステムのスライドで音量調整が出来るのは先程触れましたが、曲送りや曲戻しなども操作可能です。
デフォルト設定での操作は下記のとおりです。
ダブルタップ: 再生・一時停止
トリプルタップ: 曲送り
長押し(タップ): アクティブノイキャン→外音取り込み→ノイキャンオフ
ステムのスライド: 音量操作
ear (1)
Nothing Technology Limited無料posted withアプリーチ
せっかく専用アプリを用意して、ボタン割当が変えられるようになっているのに、これらの割当の変更が出来る部分が少ないのが少し残念。
変更出来る部分は、長押し(タップ)とトリプルタップのみです。
長押しはアクティブノイキャンの設定変えれるようにするかどうかだけで、他の機能(音声アシスタントなど)を設定することは出来ません。
ちなみに、ノイキャンの切り替えを片方だけ「なし」にすること、トリプルタップの曲送りと曲戻しの設定を左右に別々に設定することは出来ます。
ボタン割当の設定が変えられないTWSイヤホンもあるので、設定出来るだけありがたいのですが、もうちょっと設定自由度高ければ良かったのですが…。
専用アプリの機能
専用アプリでボタン割当設定以外の機能としては、プリセットから選択するタイプのイコライザ、イヤホンを探す機能、遅延設定、ファームウェア更新の機能があります。
イコライザは、プリセットだけでなく、バーで調節出来るタイプがあってら更に良かったですね。
この価格帯にも関わらずファームウェアに更新機能があることにびっくりしました。そしてちゃんとファームウェア更新を配信していました。
イヤホンを探す機能の実用性に関してですが、イヤホンの出せる最大の音がなるので、静かな場所で身の回りに落ちてる時なら結構使えると思います。ただ、人混みなどの周囲の音が大きい場面では、この音が殆ど聞こえないのでこの機能は使えなさそう。
「ANC(アクティブノイズキャンセリング)」と「外音取り込み」はおまけ程度かも
アクティブノイズキャンセリング機能は、値段が高めのTWSイヤホンには搭載されていることが増えていますが、価格帯の低いモデルだと微妙な性能なものが殆どです。
このNothing ear (1)は、同じ価格帯としてはキャンセリング機能が効いている方だと思いますが、SonyのWF-1000XM3に比べると、ノイズ貫通率は高いです。
エアコンの動作音や換気扇などの音は綺麗に消えてくれますが、電車などでは完全にはキャンセリング漏れがある感じです。
WF-1000XM3のノイズキャンセリングは強力なものの、直接的な原因かどうかは不明ですが、本体の大きさも大きく、長時間利用時に重さが負担になってくるので、正直これくらいのノイキャン具合で軽くなっているのなら、それはそれで良いのかなとも思います。
アクティブノイキャンは値段を考えるとか健闘していましたが、外音取り込みは完全におまけ機能な気がします。外のノイズもそのまま取り込んでしまうし、アナウンスなどの声にフォーカスを当てる機能などがないので、機能としては微妙な感じです。
サードパーティ製のTWS用イヤーピースを取り付けてみた
Nothing ear (1)の形状はAirPods Proのような形で、標準のイヤーピースは取り付け部分が楕円形になっていますが、AirPods Proのような特殊な形状ではないので、汎用的なTWS向けイヤピを取り付けることが出来ます。
↑左がNothing ear (1)付属のイヤピ、右がSpinFit CP1025
↑左から、SednaEarfit Light Short、SednaEarfit XELASTEC、SednaEarfit Short、Nothing ear (1)付属イヤピ、SpinFit CP360、SpinFit CP1025
また、ケース側がイヤピ部分のスペースに余裕があるので、他のTWSではケースに収まらないものであっても、Nothing ear (1)ならケースに収めることが出来ることが多いと思います。
手元のイヤピを色々試してみましたが、どれも装着感が落ちることがなく使えたので、サードパーティ製のイヤピでカスタマイズが色々できそうです。
個人的に一番おすすめなのは、SpinFit CP1025です。価格も安いし、耐久性も高く、装着感も良いです。
次いでおすすめしたいのがSednaEarfit XELASTECですが、後述していますが、装着感は確かに他のものより高いのですが、値段が高く、耐久性が低いので、それでも大丈夫ならという感じです。
SpinFit製のTWS向けのイヤーピースを取り付け
SpinFitの標準的なTWS向けイヤーピースはCP360と、AirPods Proなどのイヤピの背が低いTWSに対応するためのCP1025があります。
どちらも取り付けたまま、はみ出すこと無くケースに収納することが出来ます。
これらのイヤーピースについては下記記事でレビューしています。
SpinFit CP360を取り付け
取り付けてみるとこんな感じ。
イヤピが大きいのでステム部分とのバランスが見た目的に悪く見えます。
耳に入れてみると付属のものよりも背が高いので、ステム部分が耳から遠くなったような感じになります。
比較するとそういう感じがするっていうだけなので、実用上は問題ないし、イヤホンの装着位置がズレていく感じもしません。
ただ、落っこちるほどではないので、既にSpinFitのCP360を持っていれば取り付けて使うのもアリです。
新しく買うならCP1025の方がおすすめです。
ケースにはちゃんと収まりますし、締り具合が悪くなることもありません。
SpinFit CP1025を取り付け
取り付けてみるとこんな感じ。
付属のものと殆ど同じ高さなので、取り付けたときの見た目に違和感がないです。
装着感は標準のものより、硬い感じになります。個人的には装着感が向上して、より快適になりました。
ケースに入れても余裕で収まります。
付属のイヤピに不満があればCP1025がおすすめです。
AirPods用のアダプタが付いているモデルもありますが、Nothing ear (1)で使う予定ならアダプタが付属しない方で問題ありません。
AZLA SednaEarfit製のTWS向けのイヤーピースを取り付け
手元にあるSednaEarfitはXELASTEC、Light、Light Shortがあるので試してみました。
今回用意していませんが、XELASTECにはAirPods向けモデルも用意されています。
他のTWSだとポロポロ落ちてしまうことがあったのですが、Nothing ear (1)だと、そう言ったことはなく安定して使うことができました。
SednaEarfit XELASTECを取り付け
取り付けて見るとこんな感じ。
透明なので、見た目的には良いですね(使っているとイヤピの透明度は下がります)。
耳に入れて使った感じとしては、さすが特殊素材を使っているだけあってジワジワと耳にフィットしてきます。他のSednaEarfitに比べると軸が柔らかいので、手持ちのSednaEarfitの中では一番しっくりきます。
特殊素材の熱可塑性エラストマーという素材は、耳に入れると耳の中の熱で膨らんでくるというものです。この特殊な素材が故に、ポリウレタン製のものに次いで耐久性が低く、長く使えないという欠点があります。
SonyのWF-1000XM3に取り付けて使っていたときのレビューはこちら↓
ケースに入れてみるとこんな感じ。蓋は少し引っかかりがあるときがありますが、マグネットで閉じるので、緩くなることはないです。
Nothing ear (1)で使用するために購入するなら、AirPods Pro用が良いと思います。
SednaEarfit Shortを取り付け
取り付けて見るとこんな感じ。
使用感としては、軸が硬くイヤピの背が高いので耳とイヤホン本体が遠くなって少し違和感があります。
ケースに入れてみるとこんな感じ。
SednaEarfit Light Shortを取り付け
取り付けて見るとこんな感じ。
Lightなしモデルより全体的に柔らかいのが特徴です。Lightなしモデルより伸縮性があるので、個人的にはこちらのほうが好みです。
ケースに入れてみるとこんな感じ。しっかり蓋は閉めることが出来ます。
総括的な何か
尖ったデザインだけで中身はそれなりなのかと思いきや、作り込まれた機能や音質などに圧巻されるTWSイヤホンに仕上がっています。
機能や音質、デザインを考えると、価格が2万円前半くらいの価格で売っていても違和感ない仕上がりになっていて、これを日本のAmazonで12,650円で販売出来るだけコスパを突き詰めているのはOnePlusの血を引いていて、流石です。
オシャレなのに低価格、そしてTWSイヤホンのトレンド全部入りのNothing ear (1)、向かうところ敵なしなので、かなりおすすめです。
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