ポータブルアンプをメインとして販売しているFiiOのスティック型USB-DAC「FiiO KA3」を購入したので、レビューします。
スティック型のUSB-DACとしては、様々なメーカーが発売していて、見た目に関しては大きな差はありません。そんな中でも元々ポータブルアンプを専門とするメーカーであるFiioが発売しているので、過去製品のノウハウが活かされていて、スティック型USB-DACの中ではベストな選択肢であると感じました。
個人的にはかなり気に入っていて、おすすめ出来ます。
FiiO KA3
※この商品の日本国内の正規販売代理店は株式会社エミライが担当しているので、Amazonや楽天での購入時は販売元に注意してください。
化粧箱
箱の外観はこんな感じでした。エントリーモデルに近いので、もっと質素なデザインと予想していたので、思っていたよりしっかりしたパッケージでした。
パッケージをスライドして箱を出すとこんな感じ。説明書が大きいです。
箱部分は箱ではなくプラスチック製です。AliExpressで購入したのですが、ありがちな箱崩れが全くありませんでした。
付属品
箱に入っていたのは上記写真が全てです。
Type-C搭載のAndroidスマートフォンなどでは付属品のみで動作出来ますが、iPhone用のOTG対応Lightningケーブルが付属されていないので、この製品のみではiPhoneで使うことが出来ません。
iPhoneで利用するためには、上記のような3,000円くらいするLightningでOTGに対応するケーブルが必要になります。見た目こそ普通の充電ケーブルなのですが、中身が一般的なものと違うケーブルらしいので値段が張るようです。
ちなみに、一般的なデータ転送対応のType-C to Lightningのケーブルでは、iPhoneのOTGが利用出来ないため、接続しても無反応でした。
一方でType-C to Type-CやType-C to USB-Aの場合は、付属ケーブルでなくても、データ転送対応のケーブルであれば問題なく利用できました。
手元にないので検証はしていませんが、Apple製品でもType-Cポートを採用しているiPad ProシリーズやMacシリーズなら別途ケーブルを用意しなくても利用出来ると思います。
説明書はこんな感じです。今回はAliExpressで購入したからなのか、日本語の表記がありませんでした。
外観
後述しますが、丸い部分はサンプリング周波数に合わせて異なった色のLEDが光ります。
反対の側はこんな感じです。ハイレゾのロゴのシールが貼られています。
小さいものの、ハイパワーなアンプが入っているのでそれなりに発熱します。本体自体がヒートシンクのような素材で形状になっているので、排熱性に優れているようです。
3.5mmのヘッドホン出力と、4.4mmのバランスヘッドホン出力の2つが備えられています。
反対側はType-Cのポートです。
サイズ感が伝わりにくいと思うので、Galaxy(Samsung)純正のUSB-DACコネクタと比較すると、こんな感じ。かなり小さいことが伝わるのではないでしょうか。
Galaxy S21と接続
接続するとこんな感じです。
初期状態の場合、ハードウェア側で出せる音量が最大に設定されているので、スマホ側の音量を1/3でも結構音が大きく感じました。聞けない程の音のデカさではないので、そのままでも何とかなります。
Androidなら後述の専用アプリで音量を設定できるので、音量が大きい問題は解消します。
丸い円状のLED部分はサンプリング周波数が48kHz以下か以上かで色が変わります。
48kHz以下のときは、LEDが上記のような青色に光ります。
48kHz以上のときは、LEDが上記のような黄色に光ります。
一応、DSDのネイティブ再生をしているときは、緑色に光るようですが、手元にDSDのデータがなかったので緑になる様子は私の手元では未確認です。
Galaxy標準のUSB-DACに比べて、音に力強さが増して、クッキリしたキレの良い音になるので迫力が増します。
ただ、Galaxy標準のUSB-DACに比べて、劣る点もあります。
それは、イヤホン内蔵のマイクやコントローラー付きイヤホンが動作しないことです。推測ですが採用しているアンプがスマホ用ではなく、ポタアンやオーディオプレイヤー用のもののようで、音の出力以外のことが出来ないようです。
電話の発着信時は、デバイス側に内蔵されているマイクが利用されます。
テレワークなどでイヤホンマイクを利用しようとしている方は注意してください。
利用感としては、過去にレビューしたxDuoo X3IIのUSB-DACモードのような遅延が発生せず、音ゲーなどに利用してもプレイに支障が起きませんでした。
専用アプリ「FiiO Control」を使ってみる
FiiO Control
FiiO無料posted withアプリーチ
AndroidとiOS向けにFiiOから設定アプリが配信されています。
公式サイトによると、iOS版のアプリではこの製品の設定が変更出来ないようです。
設定自体はデバイスに保存されるので、iOSユーザーでもAndroidタブレットなどを持っていれば、設定だけAndroidデバイスでやる、という使い方が出来ます。
LEDのオンオフ設定やインピーダンス、ハイゲイン、ローゲインの設定などが出来ます。
Hardware muto switch(ハードウェアミュートスイッチ)は音の流れていないときにアンプをオフにすることでホワイトノイズを消すというメリットがあるのですが、曲が移るときに「プチッ」という音が出るというデメリットがあるので、私はオフにしています。
Dynamic power policyは、使い所がよくわからないのですが、サンプリング周波数に合わせて消費電力を削減して無駄な発熱や電力を減らすという機能らしいです。曲に合わせて可変的にサンプリング周波数を調整出来るアプリが見当たらないので、あまりメリットに感じられません。
純正のFiiO Musicアプリで曲を再生するときには効果があるのかもしれません。
また、手元の実機では無音時に目立ったホワイトノイズは聞こえませんでした。これは、接続するデバイスに依存する部分もあるので、環境次第だと思います。
画像は、FiiOの公式サイト内のゲインに関するFAQのページです。
ゲインとインピーダンスの設定に関して、一般的なイヤホンの場合は、どちらも「低」にするのが良さそうです。初期設定では、どちらも「低」の設定でした。
Audioタブではアンプのボリューム設定とLRのバランス設定、デジタルフィルターが設定出来ます。
ボリュームがデフォルトの120はイヤホンで使う場合には、やや大きすぎるので、80くらいに設定して利用しています。
一部のUSB-DACでは、物理的なボリュームボタンがあるのですが、その物理ボリュームボタンがアプリで設定する形になっているようです。この製品の場合、物理ボタンをつけないことでコスト削減を行っているのかなと思います。
Windowsでアンプのボリューム設定が出来るといいのですが、KA3のボリューム変更に対応するアプリはAndroidのみのようです。
Oculus / Meta Quest 2と接続
Meta Quest 2でも3.5mmジャック横のType-Cに接続すれば利用できます。音の迫力が増すので没入感が上がるので映画を見るとかの用途には向いています。
ただ、充電用の電源供給ができなくなってしまうため、利用できる時間が非常に短くなってしまいます。
Windowsと接続
Windows 11では専用ドライバーなしでWindowsの標準ドライバーで音を出すことが出来ますが、DSDが再生できないなどの問題が起きるようなので、専用ドライバーのインストールがおすすめです。
インストーラーが用意されているので、戸惑うことは無いと思います。
ドライバーをインストールするとスピーカー(FiiO KA3)として認識してくれます。
サンプルレートとビットの深さの設定は、基本的に最大にしておけば問題ないらしい(勝手にリサンプリングはされない)です。
ただ、「32ビット 96kHz」より上の設定にすると、音声通話ソフトのDiscordで通話音声が出なくなるので、私は32ビット 96kHzに設定しています。
高いサンプルレートの設定は、音楽再生だけなら特に問題ないのですが、Discordのような別用途のソフトウェアで問題が出る可能性があるみたいです。
最近ハマっているゲーム「モンスターハンター ライズ」で利用してみたのですが、ハンターの足音や遠くのモンスターの鳴き声などが鮮明に聞こえるので、臨場感が大きくあがります。ゲームでの利用では、遅延の有無が気になるところですが、FiiO KA3では目立った遅延はなく、ゲームでも問題なく利用出来ます。
Apex LegendsやヴァロラントなどFPSゲームをする際にも活躍できそうです。
ファームウェア更新
ファームウェア更新が配信されていたので、ダウンロードして適用しました。
発売したら売りっぱなしでなく、機能追加のようなアップデートを配信していることは非常に好感が持てます。
公式配信なのですが、Googleドライブでした。
アップデーターはWindows専用です。MacやLinuxを使っている方はお気をつけください。
「Start」を押すとアップデート作業中は外すなよ、と警告文が出ます。
正常に終了すると「Firmware update success!」と表示されます。
総括的な何か
この製品を実際に利用してみて、スティック型のUSB-DAC買うならコレ!と言えると思います。
この価格帯だと、3.5mmか4.4mmのどちらかにしか対応しないものが多いので、ちゃんと両方に対応しているのは、「流石FiiO、分かっているな」という感じです。
ただ、iPhoneでの利用という点では、ケーブルを別途購入する必要があること、iOSアプリではアンプのボリューム設定ができないという2点がデメリットとなりそうです。
ボリュームなどの設定自体は、本体に保存されるので、Androidデバイスを別途持っていれば、後者の問題を解決出来るので、利用者次第なところが大きいかもしれません。
一度アンプのボリュームを設定すれば、あとはOS側の音量設定(スマホのボリュームボタンで設定)で変更出来るので、物理ボリュームボタンの優先順位ってそこまで高くないのかなと思いました。
消費電力は結構使うので、外出先などで利用すると、スマホ側があっという間に電池切れになってしまうと思います。結局のところ、古いスマホを音楽プレイヤー代わりにするなどの運用が必要かなと思います。
私の利用方法としては、デスクトップPCでの音楽視聴やゲームなどで利用するのがメインとなりそうです。
サブスク全盛期で、音楽プレイヤーの時代は終わりつつあるので、こういったスマホに挿して利用するスティック型USB-DACが注目されていることが、何となく頷けました。
FiiOでは、USB-DAC機能を持ちつつ、Bluetoothレシーバー機能とバッテリーを搭載したFiiO BTR7も販売しているので、スマホの電池消費が気になる方はそちらも良いかもしれません。(価格が4倍くらいするので、お財布次第ですかね)
販売ページ
AliExpressのBrightAudio Storeというセラーで購入したのですが、ストアクーポンやアリエク全体クーポンなどで最終価格が60ドル程度になりました。リチウムイオン電池を搭載していないので、日本へ直送出来るため到着まで10日程度でした。
サポートには期待できませんが、安く購入したい方にはおすすめです。
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