今回は、Googleによる認証済みのAndroid TV 搭載STB、Mecool KM1 DELUXEをレビューします。
Mecool KM1 DELUXE レビュー
商品提供:Banggood
Android TVが入った真のAndroid Boxって殆ど売っていない!
BRAVIAなどのテレビに内蔵されているAndroid TVは、スマホとタブレット向けのAndroidと違い、UIとPlayストアの内容がリモコン操作を前提としたものになっています。
しかし、このAndroid TVを搭載させるにはGoogleの承認がいるようで、テレビ向けUIの真のAndroid TVを搭載したと呼べるSTBやTV Boxは極わずかしかありません。
人気かつ有名なものだと、当サイトでもレビューしたXiaomiのMi Boxシリーズです。
このMi BoxはNexus Playerなど、テレビにAndroid OSを搭載するという文化をもたらした2016年に登場したものです。
一度モデルチェンジをして、Mi Box Sとしてシリーズを継続していますが、仕様としては、ストレージは8GBだったり、LANポートがなかったり、アプリを複数入れたり、安定してライブストリーミングを見るには、少し物足りないスペックになっています。
他のAndroid TVを搭載したTV Boxには、Nexus PlayerやNVIDIA SHIELDなどが該当します。
これらの中でもMi Boxには後継機がありますが、Nexus Player、SHIELDは後継機が出ておらず現在は生産されていません。
推測に過ぎませんが、人気と世代交代の殆どないAndroid TVは、どこのメーカーも見切りをつけているようで、Googleの認証を通過したまともなAndroid TVは中々見つかりません。
「Android TV Box」で検索してすぐに見つかるTV Boxは、マイナーな中国メーカーが製造するタブレット向けAndroidをSTBに搭載した、操作性の悪いものばかりです。
こういったSTBはGoogleの認証を通過していないため、Android TV向けのPlayストアやOSが搭載出来ないようです。
そして、今回レビューするMecool KM1は、珍しくGoogleの認証を通過したものになります。
有象無象の中国のTV Boxメーカーの1つかもしれないですが、Videostrongという中国の深センのメーカー製造しているようです。
中国のメーカーではありますが、珍しくGoogleに承認されたAndroid TVを搭載したSTBをいくつか製造しています。
Mecoolシリーズが全てGoogle認証を取得しているわけではなく、KM1,KM3,KM 8,KM9 ProだけがGoogleによる認証を取得しているようです。
Mecoolがシリーズ命名にどのような法則性があるのか分かりませんが、KM1は2020年発売の一番新しいモデルです。
箱
BanggoodからJapan Direct Lineでの輸送でしたが、相変わらずボコボコの化粧箱で届きました。
箱はボコボコですが、中身に関しては、輸送時に起きたと思われる傷は特にありませんでした。
気になる中身の品質ですが、ビックリなのことに、箱を開けてみると、小さな木片のようなゴミが付着していました。
箱詰めをする際に、工場で乱雑に扱われているのかなという印象です。(本体の品質は問題なかったです)
低価格とはいえ、新品の商品を開けると、ACアダプタ、筐体にゴミがついているのはいい気持ちはしないので、残念です。
Mi Boxだとパッケージにビニール巻状態で非常に状態が良いものでしたが、Mecool KM1は散々です。
外観
大きさは片手で余裕で持てるサイズ感です。重さは500g程度で、軽いです。
正面はLEDランプが光ります。ランプはスリープ時は赤く、動作中は青くなります。
背面は左からDCプラグ、HDMI、LANポート、AV端子となっています。
AV端子は、赤白黄色のアナログ出力ではなく、イヤホン端子のようです。
横には、microSD、USB3.0、USB2.0になっています。
microSD、HDDやマウスやキーボード、LANケーブルが変換プラグなしで利用出来るのは拡張性が高い仕様になっています。
本体の素材は、全面プラスチック製です。
ロゴのついている表面は革っぽいザラザラ感があります。
裏面は、冷却用に穴がいています。
付属品
付属品は、リモコン、HDMIケーブル、Mecool M1本体、説明書(日本語表記なし)となっています。
リモコンは、Mi Box 3のものより長いです。接続はBluetoothでペアリングします。
ボタンを押すと赤いLEDが光る仕様です。
LEDの上は音声入力用のマイクになっています。
スペック
OS | Android 9 (OTAアップデートサポートと記載あり) |
CPU | Amlogic S905X3 |
GPU | Mail-G31 MP2 |
メモリ容量 | 4GB |
フラッシュ容量 | 32GB |
LAN端子 | 10/100M |
無線規格 | Wi-Fi IEEE 802.11 b/g/n/ac |
アンテナ数 | 2.4Ghz、5Ghzそれぞれ2つ |
HDMI | 2.1 HDCP CEC |
Bluetooth | 4.2 |
イヤホン端子(AV端子) | 音声出力のみ |
USB3.0 | 1 |
USB2.0 | 1 |
HDR | HDR10+, HDR10, HLG,テクニカラーHDR |
電源 | 5V/2A ACアダプター |
microSD | 有り |
ハードウェアエンコーダ | VP9 for Profile-2 up to 4K*2K@60fps H.265 HEVC [email protected] up to 4K*2K@60fps AVS2-P2 for Profile up to 4K*2K@60fps H.264 AVC [email protected] up to 4K*2K@30fps H.264 MVC up to 1080P@60fps MPEG-4 ASP@L5 up to 1080P@60fps (ISO-14496) WMV/VC-1 SP/MP/AP up to 1080P@60fps AVS-P16(AVS+) /AVS-P2 JiZhun for Profile up to 1080P@60fps MPEG-2 MP/HL up to 1080P@60fps (ISO-13818) MPEG-1 MP/HL up to 1080P@60fps (ISO-11172) RealVideo 8/9/10 up to 1080P@60fps |
特徴としては、LANポートやUSB端子2つ、MicroSDポートを搭載して、拡張性が高いことが挙げられます。LANポートは一般的な1000Mではなく、100Mになっていますが安定してストリーミングを行うのであれば十分事足りるスペックだと思います。
Mi Boxの場合はLANでインターネットに接続するには、USB変換が必要だったので、変換不要というのは利点です。
AbemaTVのような、ライブストリーミングは安定して高速な回線が必要となるとWi-Fiでは環境によってはプツプツと途切れてしまったりするので、有線接続の方が安定します。
ハードウェアエンコードは、H265やYouTubeなどに使われるVP9もサポートしているので基本的なものは全てカバーしているのではないでしょうか。
現行機種の無印ChromecastはH265をサポートしていませんが、このTV Boxはサポートしているので、Chromecast Ultra相当の使い方が出来ます。
環境が無いので検証出来ませんが4K@60pまでサポートしているそうです。
機能
基本は、素のAndroid TVそのものです。Chromecast Build-inやGoogle Assistantも搭載しています。
OTAアップデーターはファイルを直接指定してアップデート出来るオリジナル仕様のものになっています。
リモコンの電源ボタンは、「スリープ」「シャットダウン」「再起動」の3つからカスタマイズ可能です。
Chromecast Built-inはスリープ中は利用出来ません。
ちなみに、スリープせずに何もアプリが動作していない状態の場合、しばらく経つとスクリーンセーバーに移行します。
そのスクリーンセーバーがChromecastの待機画面になっています。
対応テレビのみですが、HDMIの信号で起動可能になるCECに対応しています。
Mi Boxと同じ仕様です。
OSはAndroid 9
Android TVは新バージョンリリースがスマホの周回遅れになっていて、Android 9が最新バージョンです。
OTAアップデートをサポートとなっていますが、いつまでサポートするのか記載がないので、メーカーの情報をどこまで信用できるのかは怪しいです。
ちなみに2016年発売でAndroid 5を搭載していたMi Box 3はAndroid 9までアップデートされるというAndroidとしては長期のサポートっぷりなので、技術的には数年先のバージョンをサポート出来るはずです。
※Android TVは、スマホのAndroidに比べて旧型CPUでも動くように互換性を高めたOSなのかもしれません。
ベンチマーク
↑Mecool KM1 DELUXEのベンチマーク計測中のキャプチャ動画
TV Boxのベンチマークは普通のスマホと比べるとロースペック(Snapdragon430程度?)で、ベンチマークとしては大したことないですが、このTV Boxにしては高い方だと思います。
Fire TVを含め、TV Boxは基本スペックが低いです。
Vulkan等にGPUが対応していないので、3Dゲームは厳しいです。
アプリ動作
動作感や処理能力を分かりやすくするため、ほとんど編集していないキャプチャ動画をYouTubeに用意しました。
Google認証済みということもあり、Android TV向けのアプリは概ね問題なく動きます。
DRMに関しても、Widevine DRMのセキュリティレベルがL1で最上位です。これにより、Amazon PrimeやHuluではFHD再生が可能です。
しかし、Netflixは例外的にアプリが正常に起動できないため、利用出来ませんでした。
Amazon Prime Video ○
GoogleとAmazonが和解したおかげでPlayストアからダウンロード可能になりました。
このデバイスでは初期状態ではインストールされていませんが、インターネットにつなぎ放置すると自動ダウンロードされる準プレインストールアプリとなっていました。
自動インストールにはGoogleアカウントを入れる必要はありません。
リモコンにはYouTubeに並びPrime Videoボタンがあるので、ワンクリックでPrime Videoに飛ぶことが出来ます。
動画再生は、Full HDで問題なく再生出来ました。
Hulu ○
起動、動画再生共に問題ありませんでした。
Netflix ×
Playストアからダウンロード出来るNetflixアプリはエラーが発生し利用出来ませんでした。
APKmirrorからスマホやタブレット向けのNetflixでバージョンが6.26.1のものをダウンロードして、インストールしたところ、こちらは起動しました。
しかし、Netflixを契約しているアカウントを持っていないため映像が見れるかどうかまでは確認していません。
ログインまではリモコンだけでも操作出来ましたが、スマホ向けUIということもあり、再生が出来たとしても利用上、単体再生は難ありだと思います。
Chromecastでは利用できるようなので、単体でNetflixを見れなくてもスマホかタブレット、PCがあれば再生出来ます。
TVer ○
問題なく動作しました。
torune ○?
torune環境を所持していないので、確実に利用出来ることは出来ませんが、Playストアでダウンロードして、起動することは確認できした。
しかし、再生時にエラーが出る場合があるそうなので、torune実機のない環境では確認出来ませんでした。
Mecool KM9 Proでの動作が確認されているので、動作できるかもしれません。
Abema TV ○
問題なく動作しました。
GYAO! ○
問題なく動作しました。
このTV Boxに限ったことではないですが、GYAO!が行っているTV番組の見逃し配信分がリストに入っていないような気がします。
放送中のアニメはあるのですが、一部の放送中のドラマやテレビ番組が見当たらなかったです。
dアニメストア ○
会員ではないため、再生は試せていませんが、起動できることを確認しました。
dアニメストアはDRMとDHCPの対応さえ揃えば再生可能なので問題ないはずです。
Kodi ○
CPUが良いからか、Mi Box 3よりサクサクでした。
動画再生も問題なしです。
プレインストールアプリ「Sideload Lancher」
純正ランチャーではAndroid TV向けアプリでないアプリがアイコンとして表示されないので、それに対応するためのアプリです。
非Google認証TV Boxでは標準ランチャーになっていることが多いです。
プレインストールアプリ「File Browser」
UIが古いですが、ファイルマネージャーアプリです。
USB HDDやmicroSDの動画を別途アプリなしで再生することを想定しているようです。
初期設定時にネットとGoogleアカウントなし状態でも動画ファイルがあれば再生出来るのは良いですね。
プレインストールアプリ「Movie Player」
動画再生アプリです。
UIはAndroid2.x時代っぽさを感じられます。
操作性は結構いいです。3D動画の再生や字幕読み込みも出来る高機能なプレイヤーです。
H265やMPEG2も再生出来ました。
ストレージは余裕あり
検証用に、NetflixやHuluなど複数のアプリをインストールしましたが、ストレージには余裕があります。
Mi Box 3では8GBしかストレージがなかったので、インストールするアプリを絞る必要がありましたが、Mecool KM1ではその必要はなさそうです。
Mecool KM1の最下位モデルのMecool KM1 Classicはストレージが16GBですが、ストリーミングのみであれば普通に使えそうです。
DELUXのストレージが64GBになっている、最上位モデルCOLLECTIVEを購入するメリットは少なそうです。
総括的な何か
- ポートがたくさんで拡張性の高いTV Box
- 一応最新でGoogleの認証済みのAndroid 9のピュアAndroid TVを搭載
- DRMはL1
- Amazon Prime、AbemaTV、Hulu、TVerはOK。NetflixだけはNG。
- ゲームも不可能じゃないスペック
- ストレージは32GB(DELUXE)
- OTA対応の表記はあるが、実際は謎
箇条書きにするとこんなところです。
価格的には、8千円程度でMi BoxやChromecast Ultra、Amazon Fire TV Stick(4Kモデル)とかが比較対象となると思います。
これらと比較するなら、断然とまでは言えませんが、Mecool KM1という選択もありです。
機能的に考えて、Chromecast Ultaを購入するより、スペックや処理能力は完全に上位互換で、それに加えて単体動作も出来る、Mecool KM1の方が圧倒的にコスパが良いです。
Fire TVとの差異は?
Fire TVはAmazonのアプリストアのものしか使えなかったり、Miracastは対応してるものの動画再生では圧倒的に有利なChromecastが非対応だったりと実は意外な欠点があります。
Chromecastはアプリのない動画サイトでも、ChromeアプリやソフトでAndroid TVへ安定して映像が飛ばせるので、優秀です。
音声AIも異なります。
Fire TVはAlexa、Mecool KM1はGoogle Assistantとなっています。
検索系ではAlexaはGoogle Assistantには敵わないので、その観点でもMecool KM1は有利です。
Mi Boxと比べるならどっち?
どっちも長所があり、短所があるので甲乙つけがたいです。
下記に箇条書きでまとめて見たので、購入の参考になればと思います。
Mi Boxの長所
- 販売メーカーがスマホ界の有名メーカーXiaomiという安心感
- Android 6.0からAndroid 9のOTAを数年に渡りサポートし続けているという実績
- プレインアプリや操作は、全てAndroid TVそのもの(メーカーカスタマイズ(アプリ含め)が一切なし)
Mi Boxの短所
- CPUが古い
- ストレージが8GB
- RAMメモリ4GB
- 拡張ポートがUSBポートだけ
- torneになぜか非対応
Mecool KM1 長所
- 新しいCPU
- ストレージが32GB(DELUXEの場合)
- RAMメモリが4GB
- MicroSD,LANポート,USBポートx2という拡張性の高さ
Mecool KM1 短所
- メーカーがVideostrongというTV Box専門メーカー
- OTAサポートが心配
- Netfixが動作しない
箇条書きで挙げてみるとこんな感じです。
正直、使用用途次第な気がします。知名度やメーカーとしてはマイナーなVideostrongですが、TV Boxを作ってるメーカーとしては複数のモデルを生産しているので、ある程度は信頼できると思います。
実際に利用した上でも動作不安定ということはありません。
個人的にはFire TV(4K)の購入を検討しているのならMecool KM1も視野に入れてもいいのではないでしょうか。
購入はこちらから
Mecool KM1はClassic、DELUXE、COLLECTIVEの3モデルが存在します。
Classicは16GB/4GB、DELUXEは32GB/4GB、COLLECTIVEは64GB/4GBとなっています。全てCPUは同じで、違いはストレージとRAMメモリのサイズの違いです。
CPUが同じということもあり、モデルの価格差は大きくなく最下位モデルと最上位モデル1,500円程度です。いずれも1万円行かない価格設定です。
正直な所、Classicでも実用的には十分だと思います。
ストレージ8GB、メモリ2GBのMi Box Sが8千円の少し下程度の価格で、Classicが7千円と少しの値段にも関わらず、ストレージが16GB、有線LANも使えて、CPUもMi Box Sより上位です。
Android TVで、定額ストリーミングサービスしか使わないのであればストレージが16GBでRAM2GBでも十分使えます。
MPEG2の再生やKodiで自前データベースを用意したりすることを検討しているのであれば、DELUXE以上が良いと思います。
テレビ放送等のMPEG2は、圧縮効率がそこまで良くないので、バッファがある程度貯めれないと再生できません。そこで、4GBのメモリのあるDELUXEが有利となるので、DELUXE以上が良いかなと思います。
Kodiはデータベース作成でロゴやファンアート、サムネイルを添付してライブラリ構築をするとクライアント側のキャッシュしたファイルが結構大きくなるので、ある程度のストレージ容量がある方がいいです。
輸送時間
今回はBanggoodからの輸送でしたが、5/7発送で5/17到着で10日程でした。
新型コロナウィルスの影響で少し遅れが出ていますが、輸送処理は通常に戻ってきています。
Banggood
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