今回は骨伝導ワイヤレスイヤホンAfterShokz OpenCommのレビューします。
AfterShokzは、骨伝導ワイヤレスイヤホンの専門とするアメリアのメーカーで、日本国内の骨伝導イヤホンの販売台数シェア81.2%をマークしています。
長時間に渡るテレビ会議などでイヤホンの長時間利用によって、外耳炎になるリスクなどが懸念されますが、骨伝導イヤホンは名称通り耳を塞がずに利用できるのでテレワーク・リモートワークに向いているとして注目されています。
今回レビューするAfterShokz OpenCommは、そんなテレワーク需要に応えるため、ハイエンドモデルAfterShokz Aeropexを通話と長時間利用を想定した設計のモデルとして、昨年秋に発売した商品です。
AfterShokz OpenComm
提供: AfterShokz
スペック
搭載チップ: Qualcomm QCC3024 Bluetooth 5.0
対応コーデック: SBC
マイク: デュアルノイズキャンセリングマイク
マイク感度: -38dB ± 3dB
防水・防塵: IP55
重さ: 33g
バッテリー: 170mAh (約16時間持ち)
最大駆動時間: 最大14日
apt-XやAACなどの上位コーデックへの対応は、音質に関しては使用目的に重要視されないと思いますが、遅延に関係してくると思うので、対応してくれているともっと良かったのになと思いました。
Qualcomm QCC3024自体は、比較的新しく上位のチップであるため、apt-XやAACに対応しています。
ライセンスか電池持ちの兼ね合いで不採用となったのかもしれません。
外観
AfterShokzの製品は、他社の骨伝導イヤホンよりシンプルでスタイリッシュなデザインです。
パッケージ
パッケージには、2019年グッドデザイン賞、2021年VGP(オーディオビジュアルアワード)のシールが貼られています。
今回ご提供頂いたものは、正規代理店のFOCAL POINTからでした。
本体
正面から見るとこんな感じ
内側は技適などが書かれています。
後ろのワイヤーはチタン製で伸長性に優れているだけでなく、丈夫です。
ボタン類は右耳の下の方に音量の上下(上は電源オンなどを兼ねる)、左側にはマルチファンクションボタン一つだけです。
今回実機を頂いたモデルはブラックですが、ストレートグレイのモデルだとボタン部分がオレンジになっています。
普通のイヤホンだとマルチファンクションボタンの長押しが、電源やペアリングになるのですが、AfterShokzでは「+」ボタンが、その機能を担当しています。
この仕様、電源を切る際に音量が一段階上がるので、やや微妙な気はします。
ちなみに、音量の上下は長押しでも一段階しか上がらない仕様です。
同封物
同封物は
- 本体
- 持ち運び用本体収納ケース
- 専用充電ケーブル
- 説明書とクイックスタートガイド
です。
収納ケースはポケット付きで、ケーブルを入れたりできるので持ち運びの際も使いやすいです。
充電はUSB-Aから供給して専用のマグネットコネクタで本体を接続して行います。
この充電ケーブルは、AfterShokz Aeropexと同じコネクタですが、固定部分の形状が微妙に異なってなっています。Aeropexを持っていれば流用できます(逆も可能)。
Type-Cなどでケーブルを統一したいところですが、防水性能を上げるためにマグネットコネクタを採用していると思うので、専用になってしまうのはしょうがないかなと思います。
充電ケーブルのスペアは付属していませんが、公式から充電ケーブル単体でも販売が行われています。
装着感
数年前に店頭で全然骨伝導イヤホンを試した際に、耳元で振動する感じがして、すごく不快に感じたので、骨伝導イヤホンは機能的には便利かもしれないけど、自分は骨伝導を選ぶことは無いかなと思っていました。
AfterShokz OpenCommを使ってみると、装着時の不快感が全くなく、両耳の後ろ方でグリップして固定するのですが、装着してる感が殆どなく、快適に使えました。
アジャスターなどは無く、開封したら耳に乗せるだけで装着完了です。

前回レビューしたAfterShokz Aeropexに比べると、スポーツ用途の目的より、長時間利用を想定しているようで、締付け部分が優しくなっています。
防水性能もIP67からIP55になっています。
音質・遅延・受信感度
Bluetoothイヤホンといえば、音質と遅延、安定性が何よりも気になりますが、AfterShokz OpenCommの搭載チップがQualcomm QCC3024を採用しているので、非常に安定していて音質も良いです。
音質に関しては、骨伝導という特性の宿命とも言えるのですが、日頃よく利用しているSONY WF-1000XM3やSHURE SE215(現在はAONIC 215に名称変更)と比べると、PremiumPitch™2.0 +で低音がブーストされているとは言っても、それでも低音は少し弱いです。
もちろん、中音や高音はしっかり聞こえるので、経路案内などの音声を聞いたり、YouTubeで動画を見たり、移動や作業中の音楽視聴という目的では十分だと思います。
遅延は、SBCの中では少ない方だと思います。通話での利用とかでも遅延が気になることはありませんでした。上位チップを採用した効果があるな、という感じです。
個人的に結構驚きだったのが受信感度の良さです。PCから風呂場まで少し離れていて、しかも壁があるので、TWSイヤホンだと大体接続切れになっていました(Bluetoothアダプタはアンテナなしの700円程度の安物)。しかし、AfterShokz OpenCommではしっかりと接続を維持していました。
音漏れ
単刀直入に書くと、多少の音漏れはします。
このことが少しでもあると気になる方は、一般的なイヤホンを買ったほうが良いと思います。
個人的には、どのくらい音漏れが起きているかが大事だと思っているのですが、電車の車両に乗っていて隣に人が乗ったとすると、「音が出ているものの何を聞いているのかは、耳を澄まして聞いても分からない」というレベルです。
音量によって、聞こえ具合が変わってくると思いますが、よっぽど静寂なところでない限りは、そもそも騒音があると思うので、気にする必要はない程度だと思います。
マイク性能
このモデルの最大の特徴であるブームマイクは右耳の方に、可動可能な状態でついています。
デュアルノイズキャンセリングマイクということもあり、周囲の音は消して、声をクリアに聞こえるように出来るようです。
AfterShokz AeropexやOpenMoveではマイクは、骨伝導の振動部分についていたので少し大きめに声を出さないとマイクが拾ってくれなかったのですが、OpenCommではより口に近い位置にマイクがくるので、声をクリアに拾ってくれやすいです。
長時間利用
まず、電池持ちはAfterShokz Aeropexに比べても、かなり良いです。
メーカー公称の連続起動時間も8時間から16時間に伸びています。
AfterShokz Aeropexでは4,5時間以上という長時間の連続利用の場合、装着感が気になってきましたが、長時間でもOpenCommでは装着感が気にならない感じでした。
重さが26gから33gに増えていますが、OpenCommの方が遥かに軽く感じます。
長時間利用を前提として、骨伝導イヤホンを探しているならマイクを使用する、しないに関係なくOpenCommの方が良さそうです。
総括的な何か
AfterShokz Aeropexに比べ、マイクの有無くらいしか違いがないものかと思っていましたが、締め付けが少ないというのが、印象として結構大きかったです。
ビームマイクが特徴なのですが、このマイクが傍から見ると結構目立つので、移動中に音楽を聞くために使うのは浮きます。
ビームマイクは内側に折りたたむことが出来るのですが、折りたたむと、今度は耳に当たるので、通話用途より移動中の音楽再生がメインならAeropexの方が良さそうです。

BCNランキングによると、骨伝導イヤホンの中ではAfterShokzの独占状態です。
骨伝導イヤホンとして非常に完成度が高く、機能性も十分で、デザイン的にも優れているので、骨伝導イヤホンを選ぶ際に、これを選べば大きな不満は無いと思います。
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