今回は骨伝導ワイヤレスイヤホンAfterShokz Aeropexが手元に届いたのでレビューします。
個人的には周囲の音を遮断しないというと、iPhone 11以前に付属していたEarPodsのようなオープンイヤータイプのイヤホンのような物を想定していました。
実際に利用してみると、自然と外の音と再生中の音声が聞こえる、という印象を持ちました。
自分の中の骨伝導イヤホンの印象をガラッと変えられたので、「骨伝導は新しい技術で実用性はない」なんて思っている方が、「あれ?これは結構良いのでは?」となるように伝わればと思います。
AfterShokz Aeropex
提供: AfterShokz
スペック
搭載チップ: Qualcomm QCC3024 Bluetooth 5.0
対応コーデック: SBC
マイク: デュアルノイズキャンセリングマイク
マイク感度: -38dB ± 3dB
防水・防塵: IP67
重さ: 26g
バッテリー: 145mAh (約8時間持ち)
最大駆動時間: 最大10日
apt-XやAACなどの上位コーデックへの対応は、音質に関しては使用目的に重要視されないと思いますが、遅延に関係してくると思うので、対応してくれているともっと良かったのになと思いました。
Qualcomm QCC3024自体は、比較的新しく上位のチップであるため、apt-XやAACに対応しています。
ライセンスか電池持ちの兼ね合いで不採用となったのかもしれません。
外観
AfterShokzの製品は、他社の骨伝導イヤホンよりシンプルでスタイリッシュなデザインです。
パッケージ
パッケージには、2019年グッドデザイン賞、2020年/2019年VGP(オーディオビジュアルアワード)のシールが貼られています。
今回ご提供頂いたものは、正規代理店のFOCAL POINTからでした。
箱を開けてみるとイメージ画像がドーンと出てきます。
本体
正面から見るとこんな感じ
内側は技適などが書かれています。
後ろのワイヤーはチタン製で伸長性に優れているだけでなく、丈夫です。
ボタン類は右耳の下の方に音量の上下(上は電源オンなどを兼ねる)、左側にはマルチファンクションボタン一つだけです。
普通のイヤホンだとマルチファンクションボタンの長押しが、電源やペアリングになるのですが、AfterShokzでは「+」ボタンが、その機能を担当しています。
この仕様、電源を切る際に音量が一段階上がるので、やや微妙な気はします。
ちなみに、音量の上下は長押しでも一段階しか上がらない仕様です。
同封物
同封物は
- 本体
- シリコン製の持ち運び用本体収納ケース
- 専用充電ケーブル x2
- 耳栓
- 説明書とクイックスタートガイド
です。
充電はUSB-Aから供給して専用のマグネットコネクタで本体を接続して行います。
Type-Cなどでケーブルを統一したいところですが、防水性能を上げるためにマグネットコネクタを採用していると思うので、専用になってしまうのはしょうがないかなと思います。(廉価モデルのOpenMoveは防水性能がIP55ですが、Type-Cコネクタを採用)
2本入っているので、紛失してしまったり、家で充電する用、外出先用に分けたりすることができます。
一応、公式から充電ケーブル単体でも販売が行われています。
装着感
数年前に店頭で全然骨伝導イヤホンを試した際に、耳元で振動する感じがして、すごく不快に感じたので、骨伝導イヤホンは機能的には便利かもしれないけど、自分は骨伝導を選ぶことは無いかなと思っていました。
AfterShokz Aeropexを使ってみると、装着時の不快感が全くなく、両耳の後ろ方でグリップして固定するのですが、装着してる感が殆どなく、快適に使えました。
アジャスターなどは無く、開封したら耳に乗せるだけで装着完了です。
外の音がしっかり聞こえるという特徴から、ランニングや自転車で使うことが想定されます。
そういった目的だと激しく動くのでイヤホンがずり落ちるのではないかと心配になると思います。
実際に自転車を運転する際に装着して使ってみましたが、ずり落ちるような感じもなく、しっかり固定されていました。
音質・遅延・受信感度
Bluetoothイヤホンといえば、音質と遅延、安定性が何よりも気になりますが、AfterShokz Aeropexの搭載チップがQualcomm QCC3024を採用しているので、非常に安定していて音質も良いです。
音質に関しては、骨伝導という特性の宿命とも言えるのですが、日頃よく利用しているSONY WF-1000XM3やSHURE SE215(現在はAONIC 215に名称変更)と比べると、PremiumPitch™2.0 +で低音がブーストされているとは言っても、それでも低音は少し弱いです。
もちろん、中音や高音はしっかり聞こえるので、経路案内などの音声を聞いたり、YouTubeで動画を見たり、移動や作業中の音楽視聴という目的では十分だと思います。
遅延は、SBCの中では少ない方だと思います。通話での利用とかでも遅延が気になることはありませんでした。上位チップを採用した効果があるな、という感じです。
個人的に結構驚きだったのが受信感度の良さです。PCから風呂場まで少し離れていて、しかも壁があるので、TWSイヤホンだと大体接続切れになっていました(Bluetoothアダプタはアンテナなしの700円程度の安物)。しかし、AfterShokz Aeropexではしっかりと接続を維持していました。
音漏れ
単刀直入に書くと、多少の音漏れはします。
このことが少しでもあると気になる方は、一般的なイヤホンを買ったほうが良いと思います。
個人的には、どのくらい音漏れが起きているかが大事だと思っているのですが、電車の車両に乗っていて隣に人が乗ったとすると、「音が出ているものの何を聞いているのかは、耳を澄まして聞いても分からない」というレベルです。
音量によって、聞こえ具合が変わってくると思いますが、よっぽど静寂なところでない限りは、そもそも騒音があると思うので、気にする必要はない程度だと思います。
マイク性能
マイクは右耳の方についています。
メーカーの紹介文に大きく書いてないので、おまけ程度かと思っていましたが、SONY WF-1000XM3などの普通のTWSイヤホンのマイク程度の性能は持っていました。
デュアルノイズキャンセリングマイクということもあり、周囲の音は消して、声をクリアに聞こえるように出来るようです。
AterShokzから、テレワーク需要としてインカム風にマイク部分が動かせるように強化された、OpenCommを発売していますが、長時間利用でなければAeropexだけでも太刀打ちできそうです。
長時間利用
まず、電池持ちはかなり良いです。
一日使っていましたが、電池切れになることはありませんでした。メーカー公式の8時間持ちには偽りがなさそうです。
電池持ちよりも4,5時間以上という長時間の連続利用の場合、装着感が気になってきます。
Aeropexはランニングなどでも外れないことを想定しているため、グリップ部分が強めになっています。
このことに関しては、AfterShokzの別のモデル、AterShokz OpenCommがテレビ会議向けとして販売されていて、こちらは激しく動くことを想定していない分、締め付けが弱くなっています。
リモートワークなどで長時間イヤホンをつけていて、その置き換えとして使うのであれば、AfterShokz OpenCommの方が向いていると思います。
総括的な何か
周囲の音がしっかり耳に入ってくるので、サイクリングやランニングのBGM用途としてとても優れています。もちろん、知らない地を歩く際の音声案内としても向いています。
期間限定となっていますが、福岡県の中心部にある博多駅などで市内の観光案内イヤホンとして「AfterShokz Aeropex」が採用されています。
BCNランキングによると、骨伝導イヤホンの中ではAfterShokzの独占状態です。
骨伝導イヤホンとして非常に完成度が高く、機能性も十分で、デザイン的にも優れているので、骨伝導イヤホンを選ぶ際に、これを選べば大きな不満は無いと思います。
コメント