Windows 11の目玉機能でもあった、AndoridアプリをWindows上で動作させることのできるWindows Subsystem for Andoridが、意外と簡単に機能を実行できるように出来たので、そのレビューです。
ちなみに、Windows公式ブログによると、米国限定かつWindows Insidパッケージアプリデータさえあれば、米国以外の地域かつ非Windows Insider Programでも動作させる事ができます。
Windows Subsystem for Andoridを試してみた
インストール方法
Windows Subsystem for AndoridはWindows 11用の機能のため、検証していませんがWindows 10では動作しないと思います。
本来はMicrosoftストアでWSLのUbuntu同様にWindows Subsystem for Andoridとしてダウンロード出来るのですが、現状サービスが開始されていないため、インストールすることが出来ません。
パッケージをダウンロード出来るサイトにアクセス
そこで、 @rgadguard氏が運営している「Online link generator for Microsoft Store」というWebサイトを使って、パッケージデータをダウンロードしてインストールします。
やってることとしては、対象端末になっていないAndorid端末にAPKファイルを入れてインストールする感じです。
パッケージファイルを探す
サイトには、URLやProduct IDでパッケージファイルを参照できるような検索窓があります。
この検索窓にWindows Subsystem for Andoridの下記URLを入力します。入力窓の横のプルタブは、ビルドである「Slow」を選択します。
https://www.microsoft.com/en-us/p/windows-subsystem-for-android/9p3395vx91nr
リストの中からもっともファイルサイズの大きいファイルを探します。探すファイルは、サイズが1GBを少し超えるMSIX Bundle(拡張子は.msixbundle)です。これが、Windows Subsystem for Andoridのメインインストーラーパッケージです。
パッケージファイルをダウンロード
ファイル名をクリックするとファイルをダウンロード出来ます。
Chromeの場合、こういう警告が出ますが、「^」をクリックして「継続」で保存出来ます。
ファイル自体はMS公式の署名付きのものなので、安全と考えて良いと思います。
インストール
ファイルが保存できたら管理者権限でPowerShellを起動します。
起動出来たら上の画像のように下記の内容を入力します。
Add-AppxPackage -Path <MSIX Bundleファイルのパス>
インストール中はこんな画面になります。
ちなみに非管理者権限で実行するとこういう赤い文字でエラーが出ます。
起動させてみたが…
インストールが正しく完了するとこのように通常のWindowsアプリケーションのようにスタートの中に追加されます。
これ自体は各種設定だけになっていて、このソフトではアプリのインストールなどは出来ません。
ファイルという項目を押すと、Androidの「ファイル」アプリが開くのですが、手元の環境ではエラーが出ました。一部BIOSでは仮想化設定がデフォルトだと無効化されているようですが、最近では最初から有効化されていて、自分のPCもそうでした。
このエラーの原因は「Windowsの機能」の設定で「仮想マシン プラットフォーム」が有効化されていないことが原因でした。
仮想マシン プラットフォームの有効化
この設定はコントロールパネルなどからアクセス出来ます。
標準のアプリストアはまだ使えない
環境が整うと「アプリストア」もスタートメニューの中に追加されています。
Windows Subsystem for Andoridが本格的に始まるとこれが利用出来るようですが、現時点では地域的に利用できないという文章が表示され、先に進むことが出来ませんでした。
MicrosoftとAmazonが連携してKindle Fire向けソフトをWindows環境で動作出来るようになるという予定だそうです。
現段階では米国のみとのことなので、他国向けのx86_64用のアプリケーションデータの準備などで手間取っているのかなと予想しています。
アプリはADB環境からインストールする
ストアがないので、アプリはADBでインストールするしかありません。
好きなAPKファイルをダウンロードして、adbでインストールします。
このやり方は普通のAndoridと同じなのでこの記事では省略します。
一応、英語ですがXDAにワイヤレスデバックでアプリをインストールする方法の記事があるので、それを見ると良いと思います。
この記事には、microGを入れてGoogle開発者向けサービスの代わりをしてもらうとかも書かれてますね。
実際に利用してみて
※Playストアは特殊な方法でインストールしています。
VirtualBoxやVMwareにAndroid x86をインストールした程度のものを予想していたのですが、思ったよりWindowsの一つのアプリかのように動作するように出来ていました。
1つ目のアプリを起動するのに30秒程(仮想のAndroidの起動によるもの)かかりますが、2つ目以降は数秒でパッと開くので、ストレスなく使えます。
日本語入力の挙動などが気になっていましたが、Windows側で処理してAndroidにリアルタイムで送る仕組みになっていました。Android側の入力アプリを使わないので、全くストレスなく文字入力が出来ます。
アプリからブラウザを呼び出す際も、Windows側の既定のブラウザで開くのような設定がデフォルトでされているので、使いやすいです。
試したアプリが殆ど動くのでARM版Androidのエミュレートなのかなと思っていましたが、x86_64版のAndroidのようで、Andorid x86の延長のような感じみたいです。
x86版は仮想や実機に何回かインストールしたことがありますが、動作が重いことなど色々不満点が多く、あまり良い印象を受けませんでした。
Windows Subsystem for Andoridは、Hyper-Vで仮想化されているせいなのか動作がサクサクで使い勝手が全然違いました。
採用されているAndroidは、ほぼ最新のWindows 11です。
NoxPlayerやBlueStacksは古いAndoridを長く使うので、Androidへの追従がどうなるのかが気になるところです(このままアップデートされないという説も少なからず…)。
メモリが固定で6GBというのは、特に設定はなく勝手に設定されているので、メモリの少ないPCだとスワップが増えて、動作に支障が出そうです。
SurfaceなどのタッチパネルWindowsタブレットで動くと重宝しそうですが、工夫されているのかもしれませんが、メモリ足りない問題が出てきそうな気もします。
(番外) Playストアを入れるには
AndroidでカスタムROMを焼いたことのある人や、Linuxの知識のある人なら結構簡単に入れれます。(WSL2環境が必要で、WSL1ではマウントが出来ないので、出来ません)
必要ファイルとやり方は、YouTubeとGitHubにあるので、やってみたい方はやってみるといいと思います。
ハマりポイントはWindows 11の「開発者用モード」有効化と、消すべきファイルを消すことです。
開発者用モードは、画像のように設定アプリにあります。
消すべきファイルを消すというのは
- AppxBlockMap.xml
- AppxSignature.p7x
- [Content_Types].xml
- AppxMetadataフォルダ
を最後にPowerShellでインストールコマンドを投げる前に削除するというものです。
GitHubを見ながら作業をしていたのですが、READMEでは全て小文字で完全に見逃していて、最終段階でインストールが出来ず手こずっていました。
これさえ気をつければスクリプトがなんとかしてくれるので、うまくいくと思います。
総括的な何か
Andoridアプリが普通にWindowsでスムーズに動くというのは割と新鮮でした。これまでの数々のエミュより遥かにスムーズで、互換性も結構高いものになっていました。
Androidのアプリはタッチパネル前提なので、操作性ならAndroidタブレットですし、こちらはこちらで、まだまだ需要がありそうです。
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